アートミーティング「円卓会議」 レビューを掲載します。

2020/12/16 何かはある2021

Meets KENPOKU アートミーティング「円卓会議」 レビュー

日時:2020.12.13(日)13:00〜16:00
場所:茨城県庁25F 展望ロビー(水戸市)

*今回は、群馬県、栃木県等の県外からの参加者や県南のアーカス・プロジェクトからの参加者も交えて、相互に情報交換を行いながら広がりのある話合いができました。

第1部 活動紹介
茨城県北地域でアート系の活動を中心にしている地域おこし協力隊員の人達の活動発表が行われ、さらに協力隊卒業後も地域に残ってアート活動に取り組んでいる人の発表も行われた。アートに対する取り組みや“地域”の捉え方は様々であっても、人々と関わる中でくみ取ってきた地域の文化的な特質を、自分自身のアイデンティティの中へ昇華して表現していこうとする姿勢には共通するものが感じられる。

第2部 ゲスト・トーク「地域にアートが残ると起きること」
  中﨑 透(美術家)✕ 西野由希子(文学者、茨城大学人文社会科学部教授)
  聞き手:岡野 恵未子(アーツカウンシル東京プログラムオフィサー)
 美術家として各地で作品を発表してきた中﨑氏からは、物質としては残らないインスタレーションやパフォーマンス的な作品を手がけてきて、人々と共に創り上げてきた活動のスペースそのものが後に残って受け継がれていることに意義を感じているという話がある。ただ、活動の盛り上がりが高まれば高まるほど内輪の人達の集まりになっていってしまうところにジレンマを感じている。また、活動拠点の自立的な運営を継続することの難しさも感じられる。
中国・香港文学の専門家である西野氏からは、近年、香港では雑草のようにどこからも芽を出して育ってくる植物は自由の象徴として捉えられている、という話がある。“草の根”の活動のように自発的で自立的な形で地域振興を進められることが理想なのではないか。行政からのサポートと自律的な活動との擦り合わせについても考えていく必要があるのではないかと感じられる。

第3部 円卓会議
 参加者が気づいた言葉を付箋に書いてボードに貼ってもらい、それらを元に話を進める。
「伝える・記録する・時間を超える」を軸に考えると、表現したことをより多くの人達に伝える活動を行っていき、表現活動の記録を積み重ねていくことで人々の心の中にアートが生き続け、長い時間をかけて地域の文化を豊かにしていく、というところに地域を基盤にしたアート活動の意義が見いだせるのだろうか。その土地に住む人や関わりをもつ人は移ろい変わっていくとしても、何かはあって何かは文化として残り続けるのだろうか。
この中で特に、「アート活動の拠点」の維持、持続性の大切さが共有されている。アーティストにとっても地域の方達にとっても「メゾンケンポク」のような拠点が保証され、継続されていくことが重要になってくると思われる。
短時間で結論が出せる問題ではないが、文化的な拠点作りやアート活動を継続することの大切さを感じながらも、継続していくことの困難さを克服する手立てについては今後も共に考えていく必要性があることについて確認できた。(文:メゾン・ケンポクのチーム 海野輝雄、写真:山野井咲里)

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